ハイクオリティの印鑑
思考はある組織をつくろうとするときとか、多様な事象を分類しようとするとき力を発揮する。
さて、この解を検討してみると、映画館とは何かを説明している三つ、すなわち「にぎやかな場所」、「映像を映す」、「大勢が集まる」の三つは、順に「場所」「働き」「集団性」を表している。
見方を変えれば、この三つの角度から見れば、早く答えが出るということだ。
映画館のようにわれわれが相当の知識を持っている場合は、それなりの答えが出るが、構想でぶつかる言葉や概念に対しては、必ずしも十分な知識を持っていない。
このとき、早く角度を決めれば、スピーディーに取り組める。
角度、すなわち、前章で述べた「視点」、これが決定的な役割を果たすのである。
しかも、視点を変えれば、まったく異なる最終解に到達する。
そこで、問題は視点である。
どのような視点が問題の解釈に適当か、これを考え、探索しなければならない。
そのことによって、通常とは異なるフレッシュな答えを得ることができる。
そして視点を媒介として出た言葉の意味だが、逆思考の場合は、その意味を逆転しなければならない。
確かにこれは逆の意味かどうか、論理的に正しいかどうかを点検しなければならない。
そして逆の意味が捉えられた場合、その逆の意味を表す言葉を想起しなければならない。
本当にそのことはその逆の意味を表していることかどうか点検しなければならない。
この過程で多数の言葉や、概念を、探索する。
そして視点に則して正しいかどうか、考えたすべてが論理的かどうかを確認する。
この逆思考過程で、ある一定の角度から見た論理性や、自分の持っている情報の探索や洗い直しを行うことになる。
自分の思考の自己訓練をしようとする場合、ある意味ではばからしいことのようだが、ぜひトライしてみていただきたいことである。
もう一つ、事例を挙げよう。
電話の逆のものを挙げよ。
ただし視点は「働き」とする。
)働きという視点からのみ電話を解釈する。
すると相手との関係をつけるものとなる。
すると相手との関係を断つ、これが逆の意味。
そうすると、「はさみ」あるいは「遮断機」などとなる。
スタートになる課題はカバン。
視点を選ぶ。
視点は機能。
それから考えると、ものを取り入れるもの←その逆の意味はものを吐き出すもの←逆の意味に該当するものは、水を吐き出すポンプ←したがってかばんの逆はポンプ。
さてポンプとは。
再び視点を立てる。
この場合、一度使った機能は使つてはいけない。
では別の機能は?関係とする。
その意味、水と関係がある←水の逆の意味は固体と関係がある←それに該当するものは、セメント。
今度は機能と関係の視点は使えない。
そこで視点は条件。
セメントは湿っているときに使う←その逆の意味は、乾いているときに使う←それに該当するものは、カンナ。
以上を通してみるとカバン、ポンプ、セメント、カンナそれぞれその前後の言葉と逆関係にある。
こんな要領で展開していく。
練習していただきたい。
まず、最初の五分間にどれだけできるかやってみる。
そしてしだいに長くできるだけ多くの視点を使ってやってみる。
これを繰り返すと、多様な視点が自由に頭にひらめくようになる。
それに応じて逆を出す速度は速くなる。
そのチェックは、先に述べた方式でやってみる。
つく。
繰り返そう。
あるのが普通。
逆思考で「思考の枠」を拡げよう。
類似思考は逆思考と比べた場合、かなり簡単な方法である。
つまり、XというものをYという視点から見た場合、いったいどんな性質を持ち、またその性質と似ているものは何か、といった思考手順による思考方法である。
視点は形である。
大変簡単だ。
だが、あるものの視点を一つだけでなく、二つとか、三つとかに拡げた場合、二重の類似性を持つもの、三重の類似性を持つものは何かということになるから、類似のものは限定されてくる。
このような場合、類似思考においても、高度な思考が必要となってくることは逆思考の場合と同じである。
ところで今述べたのは、Aと類似したものの追求であったが、すでにあるAとBの共通性は何か、ということもある。
これも類似思考である。
現実に、構想立案の過程では、起きている現象や異なる行動の関連付けで、この思考を頻繁に使う。
これは、重要だ。
深く掘り下げれば掘り下げるほど、似ているものが実はぜんぜん違ってきたりする。
いろいろな意見に同調した人の意見が、実は類似ではなくばらばらだったとか、またそれとは反対に、異なった現象を探ったら、根は一つの同類だったとか、これらはよく経験することである。
類似思考でも、このように現象に惑わされないことが必要になる。
明確な同質性の把握は、次の本質の把握につながる。
一歩進めてほしい。
そこから、「見分ける力」がつく。
・組織化では、まず同質、次に異質、日本人の思考特性を活かそう。
・多様な問題や機構を考えるときは、それらを支配する共通の統轄コンセプトを見いだそう。
混合思考が現実われわれは複雑な思考をしている。
逆思考、類似思考の問題を述べてきたが、既にお気付きであろうかと思うが、演習などでは、それぞれの言葉の持つ逆の性質、類似した性質の発見が重要なために強調してきたのである。
実際には、まったく逆のように見える言葉の中に、同質の性質を持っていたり、類似した言葉の中に逆の性質を持っていたりする。
現実には、追求していけば、すべての言葉は逆概念と同質の概念を含んでいるのである。
これらを見分ける力や、それらを組み合わせて何かを判断する力を強化するためには、一つの言葉の中にある逆と類似を、異なる視点から分析するとよい。
なぜならば、逆か、類似かは視点の違いによるからである。
なお、構想立案では、当面する問題が、どの面が他と類似しており、どの面が逆であるか、を判断することが重要である。
多重思考巳なっている今までやってきたことは、それぞれの演習では、視点が一つとして考えてきた。
実際には、一つの言葉を、いくつもの視点で見なければならない場合がある。
多重な思考である。
逆の類似の混合した思考の場合も同じように、多くの視点が重視される場合がある。
例えば、写真のフィルムの六つの点で逆なものは何かという問いに対しては、一つの視点では簡単に答えられるのに、六つの視点から出された六つの意味をすべて逆にして、そのすべてを満たす言葉を見つけることは容易なことではない。
類似思考の場合も同じく難しい。
これは自己訓練としては相当の価値がある。
さて、これらを含む、それほど難しくない演習をやっていただこう。
インターネットについて、二つの面で逆であり、一つの面で、類似である言葉を挙げてください。
ここで重要な指摘をしておこう。
いろいろな視点を自由に扱えるようになり、逆思考や同質思考がスムーズに展開できるようになったとしても、意味内容を書くのに、以前から持っている知識を、単純に当てはめてはいないかということである。
面白おかしく逆思考をやる場合などこの傾向が強い。
つまり、既に確立した過去情報、しかも自分の日常使い慣れた言葉の範囲でしか考えていないということである。
それを避けるため、一つの視点から問題の言葉の解釈をするときに、いくつもの案を出すことをお勧めしたい。
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